8月25日(前編)
わたしは何も返事をできなかった。

もちろん朝陽と来年来たい気持ちもある。

だけど…やっぱり水樹くんなんだ。


わたしの中にいるのは水樹くん。


「じゃ、帰ろっか」

「うん」

朝陽と立ち上がると並んで歩き出す。


「あ、りんご飴買わないとだね?2本」

と言われハッとする。

りんご飴、そうだ。


もう忘れてしまっていた。


わたしたちは出口ではなく、屋台が並ぶほうへと足を向けた。

屋台付近にはまだ人がたくさんだ。
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