8月25日(前編)
「ん?」

「帰ろ。りんご飴はやっぱりいいや」

「え?」

2人から朝陽に視線を向けると「もうお腹いっぱいだから」そう言って朝陽を引っ張った。


早くここを離れたくて仕方なかった。

やっぱり…前髪なんて整えなければよかった。

そもそもお祭りなんて来なければよかったんだ。


前髪があれば水樹くんを見つけることもなかったんだろうし、そもそもお祭りに来ていなかったらあんな姿見らずに済んだはず。

何もかも後悔。


「紗良?どうしたの?」

「なんでもないよ。だから帰ろう?」

「本当にいらないの?」

「…いらない。りんご飴なんて」


ごめんね、朝陽。
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