8月25日(前編)
わたしってほんとにバカだ。

水樹くんがわたしを好きになることなんて、よくよく考えればあり得ない。


彼氏、彼女という言葉を言われて勝手にいいほうに考えてた。


……変わらなければよかった。


「紗良、」

会場を出てすぐのところで朝陽が足を止めた。

「やっぱり、りんご飴買ってくるよ。すぐ戻るからここで待ってて?」

そう言うと走って会場に引き返した朝陽。


もう、りんご飴はいいのに…。

帯で息苦しいし、下駄で足は痛いし…

色々と嫌になってくる。


そばの電柱の陰にしゃがみ込み朝陽を待っていると「紗良ちゃん?…」と今一番聞きたくない声が聞こえた。
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