8月25日(前編)
そっと水樹くんを見ると目が合い…

「浴衣似合ってる、可愛いよ」

と笑いかけてくれた。


それだけ言うと水樹くんは踵を返し「お待たせ」と彼女と歩いて行った。

あーもう終わった。

そう思った。


もう夏休み前の関係には戻れない。


それもこれも全部自業自得。


「紗良っ、お待たせ!」

朝陽の声が聞こえた瞬間、もうダメだった。

我慢していた涙が一気にこぼれていく。


「え、紗良?どうした?」

わたしはズルい。
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