8月25日(前編)
そう言うとその場に崩れ落ちる奈々ちゃん。

これじゃ、まるでわたしが泣かせているみたいに見えるだろう。


「あの「奈々っ?」」

声をかけようとした時、向こうで聞こえた声にハッとする。

そこには水樹くんと平野くんの姿があり…

途端に奈々ちゃんは立ち上がり、勢いよく水樹くんに抱きついた。


…やっぱり…なんかもう最悪だ。

チラッと水樹くんと目が合ったけど、わたしはそのまま歩き出した。


もう勝手にやってくれ。


呆れて涙も出ない……というのは嘘。

今にもこぼれ落ちそうな涙を必死に我慢する。


すると「待ってっ、」と肩を掴まれた。

「紗良ちゃん、あれは違うから」
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