8月25日(前編)
「はい、お邪魔します」

そう返事すると笑顔が返ってきた。

「それにしても逞のアホはまだ?」


と平野くんに電話をかけるお姉さん。

その様子をジーっと見ていると水樹くんに手引かれ、そのまま部屋に連れてこられた。


「そろそろ仲直りしよ?」

そう言って視線を絡ませてきた水樹くんにドキッとしてしまう。

「長谷川とのこと、色々言ってごめんね?あの時の俺、気持ちに余裕なくてさ…」

「ううん、わたしのほうこそごめんなさい」


朝陽とはもちろん何もない。

だけど、今なら水樹くんの気持ちがわかる。


「でも紗良ちゃんって嫉妬とかしないんだね」

「嫉妬?」

「俺がどんなに女子に囲まれていようが平然としてたし…紗良ちゃんは強いよ」


そう言って薄く笑う水樹くんは間違ってる。
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