８月２５日（前編）

昨日、さっさと帰ったのは水樹くんじゃん。

なんで今さら心配なんて口にするの？


「ね、昨日彼女になったよね？そろそろ口きいてくれてもよくない？」

そんなのお断りに決まってる。


てかそろそろ周りの視線が痛い。

この視線が一番嫌い。

耐えられなくなったわたしは、水樹くんの横を素通りして校門を目指した。


「手強いな〜」

なんて声が聞こえてきたけど、もちろんそれもスルー。


教室に入ると珍しく千波が先に来ていた。

「あ、紗良おはよ〜」

と挨拶されたけど返事はしない。