8月25日(前編)
次の日、

『もう一度、会いたい…』

という願いは意外と簡単に叶ってしまった。


少し大人びていたであろう顔から、先輩だと勝手に決めつけていたけど、クラスが一緒のところをみれば同い年のようだ。

それも右斜め前の席とかなり近い。


ーー水樹慧[みずきけい]

その人の名前は座席表で一番初めに確認した。


「よーし、みんな席につけ〜。今日からお前らの担任を務める和田だ、よろしくな〜」

教壇に立った先生はクラス中を見渡し微笑んでいるようだった。


わたしは先生の顔をほんの一瞬見ただけで、そのあとはひたすら俯いたまま。
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