8月25日(前編)
きっと、今顔を上げてもいいことはない。

クラス中の視線がわたしと隣の彼女に向いていることはわかりきっている。


そんな中、顔を上げてもいい言葉が聞こてこないことくらいもう知っている。

「矢加部、夏目、わかったな?」

「っはぁ…めんどくさいな〜」

と堂々と口にした彼女。


確かにめんどくさい。

わたしの場合、呼ばれた理由もわからない。


「めんどくさいなら、まずその髪色直すんだな」

先生はそう言うと再び教壇に立って話しを続けた。


いったいわたしが何をしたというんだろう?
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