【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「紅音。俺は紅音が喜んでくれる顔を見るのが、一番好きなんだ」

 そう言われてわたしは「え?」と聞き返した。

「紅音がいつも明るく笑ってさえくれれば、俺はそれだけで幸せなんだから」

 そう言われてわたしは、キュンとした。そして恥ずかしい気持ちになった。
 だけど嬉しかった。……すごくすごく、嬉しかった。 

「……爽太さん」

「紅音と過ごすこの時間は、俺にとって宝物だよ。……永遠に忘れることはない」

 永遠に忘れることはない……。それはきっとこの夫婦生活が、後半年で終わるということを意味しているに違いない。
 後、半年……。後半年でわたしたちは、離婚しなくてはならない。それが結婚する時に決めたルールなのだから。

 だけどその期限が近づくほど、虚しくなっていく。そして離れたくないという想いが強くなってしまう。
 わたしは後半年後、どうやって生きていけばいいのだろう……。爽太さんなしで、どうやって生きていけばいいの?
 そんな考えばかり浮かんできてしまう。

「紅音、どうした?」

「……え? あ、いえ。何でもないです」

 離婚まで後、半年ーーー 
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