【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。

【爽太Side】



　それから2週間が経った頃、紅音がリビングで本を読んでいると、紅音が俺に近寄ってきた。

「あの、爽太さん……」

「ん？なんだ？」

　紅音にふと視線を向けると、紅音は俺に何か言いたげな表情をしていた。　　

「……あの、ちょっと、お話があるんですけど」

　紅音の声はいつもみたいな明るい声ではなく、少しだけ落ち着いたような表情だった。

「話？　なんだ？」

　俺は読んでいた本を閉じると、紅音に視線を向けた。

「あの、大したことではないのですが……。その、実は今、そろそろ離婚した後に住むアパートを探そうと思っていて……」

　紅音はそう言うと、申し訳なさそうに俺から目を逸らした。

「……そうか」

　離婚した後に住むアパートか……。確かにそろそろ、その辺のことも考えていかないとならないな……。
　後半年のこの結婚生活は、絶対に終わりが来る。離婚した後のことを考えていかないと、後になって二人とも苦労するよな……。

「爽太さんがウィーンに行ってしまうので、この家に住めなくなるし……。そろそろ住む所を考えないとかなって」