【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 俺は、紅音の笑顔を守りたい。
 ずっとずっとーーー

「「いただきます」」

 二人で手を合わせて、紅音の作ったカレーを食べ始める。

「美味い」

「良かった」

 なんて微笑む紅音は、本当に嬉しそうだった。

「やっぱり紅音の作るカレーは絶品だな」

 俺がそう言うと紅音は「嬉しいです。そう言ってもらえて」と言っていた。

 紅音、出来ることなら俺だってお前とずっと一緒にいたい。離れたくなんてない。
 そう思うほどまでに、俺は君をこんなにも愛しているのに……。離れたくないなんて、今更言える訳はない。
 紅音のことを利用したのは俺だ。契約結婚という形で妻に迎えたものの、ずっと一緒に過ごすうちに俺は紅音を妻として、女として、愛してしまった。

 愛していると何度言ってみても、俺たちにはもう時間がない。離れることは、結婚した時からすでに決まっているのだから……。
 これ以上紅音に悲しい思いをさせたくはない。俺がずっと一緒にいたいと言ったら、紅音は容赦なく俺のそばに居続けるだろうしな……。
 そういう運命だと思って、受け入れるしかないのだろうか……。
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