【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「離婚することは、最初から決まっていたんだ」

「え? 最初から、って……?」

 複雑そうな表情を浮かべる加古川。俺はそんな加古川の表情を見ながら、話を続けた。
 
「俺たちは、離婚することを前提に結婚したんだ。……2年間という、期限付きで」

 こんな話をするなんて、おかしいかもしれないとしえ思った。
 だけどどうしても、言っておきたかった。

「……それ、どういうことだ? なんで、離婚なんだよ?」

 加古川からそう問いかけられた俺は、すぐに答えることが出来なかった。

「離婚することを前提に結婚なんて……。奥さん、よく理解してくれたな」

 その言葉は、俺にはとても辛いものに聞こえた。

「……俺が無理矢理、そうさせたのかもしれない」

「え?」

「俺が紅音を利用したのは、事実だしな。……紅音と出会った時、紅音は親の作った借金を抱えて、苦労していたんだ。それで借金取りからしつこく責められていたらしい。 俺はその場面にたまたま遭遇して、困っている紅音を助けた」

 俺は紅音との出会いから、全てを話すことにした。

「借金を全額返済する代わりに、結婚を申し込んだ」
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