【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「……それで、突然結婚を?」

 加古川に結婚すると言った時、確かに加古川は俺に対して【意外だな】って言っていた。
 
「ああ。だけど2年後にウィーンに行くことがすでに決まっていた俺は、2年間だけ結婚するというルールを作った。……その時の俺は、2年後に離婚するという形なら、余計な愛や感情を知らなくても済むと思ったからだ」

「……それで、2年なのか」

 加古川の表情は明らかに複雑そうだった。だけどそれは、紅音へのちょっとした同情なのかもしれない……。

「ああ。……だけど、俺は紅音を愛した。いや、愛してしまった。 後半年したら俺たちは離婚すると分かっていながら、愛してしまっているんだ」
 
 こんなに感情が溢れ出すことは初めてだった。
 どうしたらいいのか、分からない……。

「……奥さんだって、お前を愛してるんだろ?見てりゃ分かるさ。奥さんはお前のことを、とても愛してるよ。 お前と一緒にいる時、奥さんすごく幸せそうに見えるしな」

 加古川はそう言って少し微笑んでいた。

「……結婚する時、もう一つルールを作ったんだ。子供を作らないっていう」

「え?」
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