【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「2年間の間で子供が出来たら、俺が困ると思ったから。もし子供が出来てしまったら、もう後戻り出来なくなる。……そう思って子供は作らないというルールを作った」
加古川は俺の話を黙って最後まで聞いていた。
「……それでか」
「え?」
加古川のその一言に、俺は何か違和感を覚えた。
「妻が以前、こんなことを言っていた。お前の奥さんが前に家に来た時、少し悲しそうな顔をしていたって。 気になって話を聞いたら、奥さんは子供が欲しい気持ちが出てきてしまったって言ってたそうだ」
「……紅音、が?」
紅音が、そんなことを……? 俺、全然知らなかった。
「だけど、それはムリなのかもしれないって言ってたそうだ。美乃梨は最初、お前の奥さんが子宮の病気なのかもって思ったそうだけど、そういうことだったんだな」
「……ああ」
子供が欲しい気持ち……。紅音がずっと思っていること。
確かに今考えたら、そんなこと思って当然だよな……。だって結婚して夫婦になったら、普通は子供が欲しいと誰もが思うことだよな。
明るく楽しい家族になりたいって、そう思うのは自然なことだよな。