【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「いいな、豆乳鍋。美味いよな」
 
 その爽太さんの言葉に、わたしは「はい。豆乳鍋大好きです」と答える。
 そんな何気ない会話をしながら毎日を過ごすことは決して寂しいものではないけど、時々寂しい気持ちになるのは確かだった。
 わたしはもう少しで、爽太さんの妻ではいられなくなると分かっているから……。

「後は煮込むだけか」

「はい。しっかりと味が染み込むように、煮込みます」

 お鍋が出来るのを待っている間、わたしはお風呂のボタンを押してお風呂のお湯を沸かした。
 ふと爽太さんに視線を向けると、ソファに座って本を読んでいた。その横顔を見つめながらわたしは、爽太さんと一緒にいられる時間が残り少ないことに不安を感じていた。

 わたしにはまだ、爽太さんに言えていないことがあった。
 だけどそれを言ってしまったら、わたしは爽太さんと一緒にいられる時間がもっと減ってしまうかもしれないと思って、言い出すことも出来ない。
 わたしって本当に、臆病だな……。ちゃんと言わなくちゃいけないとわかっているけど、怖い。
 怖くて怖くて、仕方ない。
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