【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
なんて笑う爽太さんを見て「はい」と答えた。
「ごちそうさまでした」
夕食を食べ終えて食器を片付けようと立ち上がった時、爽太さんが「俺がやるから」と食器を持っていってくれた。
「すみません。ありがとうございます」
「作ってもらったから。食器くらい俺が洗うよ」
と笑みを浮かべた爽太さんは、わたしの頭を優しく撫でてくれる。
……爽太さんのその優しさに触れる度に、わたしは離れたくない気持ちがより強くなっていく。
「紅音は先に風呂に入ってきたら?」
「え、いいんですか?」
「ああ、ゆっくり入ってこいよ」
爽太さんからそう言われたわたしは、遠慮なくお風呂に入ることにした。
寝室からパジャマと下着を取り出し、バスルームの扉を閉めて服を脱いだ。
「……赤ちゃんが、ここに」
服を脱いだ状態の自分の体を見て、不思議に思う。まだ全然お腹も大きくなってないから、赤ちゃんがいるという実感すらない。
本当にここに、わたしたちの赤ちゃんが……。正直に言うと、まだ信じられない。
爽太さんには妊娠のこと、いつまで隠し通せるだろうか……。