【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 なんて笑う爽太さんを見て「はい」と答えた。

「ごちそうさまでした」
 
 夕食を食べ終えて食器を片付けようと立ち上がった時、爽太さんが「俺がやるから」と食器を持っていってくれた。

「すみません。ありがとうございます」

「作ってもらったから。食器くらい俺が洗うよ」

 と笑みを浮かべた爽太さんは、わたしの頭を優しく撫でてくれる。
 ……爽太さんのその優しさに触れる度に、わたしは離れたくない気持ちがより強くなっていく。

「紅音は先に風呂に入ってきたら?」

「え、いいんですか?」
 
「ああ、ゆっくり入ってこいよ」

 爽太さんからそう言われたわたしは、遠慮なくお風呂に入ることにした。
 寝室からパジャマと下着を取り出し、バスルームの扉を閉めて服を脱いだ。

「……赤ちゃんが、ここに」

 服を脱いだ状態の自分の体を見て、不思議に思う。まだ全然お腹も大きくなってないから、赤ちゃんがいるという実感すらない。
 本当にここに、わたしたちの赤ちゃんが……。正直に言うと、まだ信じられない。
 爽太さんには妊娠のこと、いつまで隠し通せるだろうか……。
< 126 / 208 >

この作品をシェア

pagetop