【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑭不安ばかりの夜
そしてそれから2日後ーーー
「行ってくる。向こうに着いたら連絡する」
「はい。……行ってらっしゃい」
「ああ。無理はするなよ、紅音」
爽太さんからそう言われたわたしは「爽太さんも、無理だけはしないでください」と言った。
「ああ。分かってるよ」
爽太さんはそう言って優しく微笑むと、わたしのことを優しく抱きしめた。
そして爽太さんは仕事のため、二週間のシンガポールへの出張に出掛けていった。
「……行っちゃった」
わたしは爽太さんを見送った後、一人ソファに座ってため息をついた。
「……どうしたら、いいんだろう」
考えれば考えるほど、爽太さんへの思いは強くなっていく。……だけどわたしには、分からないんだ。
爽太さんがわたしの妊娠をもし知った時、どんな反応をするのだろう……。
爽太さん自身、子供は作らないと言った。なのに結局出来てしまったのだから、もしかしたら呆れるかもしれない。
もしかしたら、それは過ちだったと言うかもしれない。……だけどもし、それを一緒に喜んでくれたとしたら……?
ううん、それはないか。そんなこと、多分ない。