【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
それから2日、3日と時間は早々と進んでいった。そして妊娠していることを、わたしは誰にも打ち明けられずにいる。
職場の人にも、美乃梨さんにも、誰にも言えずにいる。
「小田原さん、顔色あんまりよくないけど大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
職場でもたまにそう聞かれる。家にいても余計なことばかりを考えてしまうわたしは、気を紛らわせるためにいつもより多めにシフトを入れてもらった。
家にいてもどうせ一人なのなら、余計なことを考えたくない。だから働いていたい。そう思うことしか出来なかった。
でもそれで良かった。爽太さんがシンガポールに行ってからの3日、連絡をくれると言っていたのに全然連絡をくれないのだ。
きっと忙しいのだと思う。お父様の仕事に同行するようにとのことだったから、きっと向こうで何か新しい事業でも始めるのかもしれない。
「小田原さん、旦那さんいないからってそんなに働いて大丈夫?」
「大丈夫です。……働いていたいんです、今は」
そうやって言ってみたものの、結局は自分への言い訳にしか過ぎないのだけど……。
「……そう。でも無理しちゃダメよ?」