【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「……よし、戻ろうかな」

 休憩を終えた後は、定時の16時までみっちりと働いた。
 商品棚の補充に賞味期限チェックなどを行い、新商品情報の確認を行った。

「お疲れ様でした」

「お疲れ様〜。明日はお休みでしょ?」

「はい」

「ゆっくり休んでね」

 佳奈美さんから優しい言葉をかけてもらったわたしは【ありがとうございます】と答えてお店を出た。
 そしてふと、思い出したようにスマホを開いた。 だけどその後、爽太さんからの連絡はなかった。

「……そんなに忙しいんだ」
 
 もしわたしが一緒にシンガポールに行ってたら、爽太さんはわたしと一緒にいてくれたのかな……?
 それともわたし一人だった?……そんなことすらも、分からない現実。

 家に帰るとわたしは、部屋に戻りベッドに横になった。
 お腹に手を当てると、目を閉じて考える。

「……わたしが産みたいって言ったら、爽太さん許してくれる?」

 わたしはずっと、誰かと家族になりたいって思っていた。だけど家族になるって、それって難しいことなんだよね……。
 わたしたちは、きっと……。家族にはなれない。
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