【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「……この子のこと、わたしは守れるのかな」

 こんなに不安ばかり抱えて、わたしこの子のことちゃんと守れるのかな……。
 妊娠していると知った時、涙が出た。……でも、嬉しさからだったのかは分からない。
 するとその時、わたしのスマホが鳴り始めた。

「もしもし……。爽太さん?」

 電話をしてきたのは、爽太さんだった。

「紅音か?良かった。出てくれた」

「当たり前ですよ。……出ない訳、ないじゃないですか」

 爽太さんはわたしの夫なんだから。

「紅音はどうだ?しっかり休んでるか?」

「はい。休んでますよ」

 あまり爽太さんに心配をかけたくないから、そう言うしかなかった。
 余計な心配をさせてしまっては、爽太さんに申し訳ないから。

「そっか。ちゃんと食べてるか?」

「食べてますよ、ちゃんと。心配しなくても」

「そうか。なら安心だな」

 その言葉にわたしは「爽太さんもちゃんと食べてくださいね」と話した。

「分かってるよ。 俺は早く、紅音の手料理が食べたいけどな」

「じゃあとびっきり美味しいもの、作って待ってますね」
 
 と、わたしは爽太さんに答えた。
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