【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「ああ。それは楽しみだな」

「食べたいものがあったら、なんでも言ってください」
 
「じゃあ、ローストチキンとビーフシチューが食べたい」

 わたしのその問いかけに、爽太さんは嬉しそうにそう答えた。

「分かりました。じゃあローストチキンと、ビーフシチュー作って待ってますね」

 そうやって時々、少年のように嬉しそうに笑う爽太さんのことを思い出して、微笑みを漏らす。

「ああ。……早く会いたいよ、紅音に」

「わたしも、会いたいですよ?こんなにも大好きな人ですから……」

 だってわたしは、爽太さんのことを愛してるから。こんなにも人を愛することが出来るなんて、思ってなかった。
 こんなにも愛しくて仕方ない人なのに……。どうして離れなければならないか。最近ずっとそのことばかり考えている。

「嬉しいよ。愛してるよ、紅音」

「……はい」

 愛してると爽太さんに言われる度に、わたしの胸は苦しくなる。
 あと数カ月後には離れなければならないという現実と、子供が出来てしまったことに対する罪悪感とで、とてつもなく違和感を覚える。
 わたしは……今どうしたいのだろう。
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