【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「すまない。親父に呼ばれた。もう行かなければ……」

「そうですか。頑張ってください」

「ありがとう。……じゃあ、おやすみ」

 わたしは「おやすみなさい」と答え、電話を切った。

「……愛してるなんて、言わないで」

 こんなにも愛してると言われたら、わたしは更に爽太さんのそばから離れられなくなる。
 ずっとそばにいたいなんて、おこがましいことを思ってしまう。

 ずっとそうやって悩んでいても仕方ないのだけれど、今は悩むことしか出来ない。
 いくらこうやって悩んだ所で、わたしたちの迎える結末なんて……。もう目に見えているのに。

「っ……わたしは、どうしたらいい……?」

 爽太さんのことが大好きなのに、愛してるのに……。こうやってそばにいられなくなると分かっていながら、ずっとそばにいたいなんて思う。
 出来ることなら、わたしはこの子と三人で幸せになりたい。今だって幸せだけど、それ以上に幸せになりたい。
 ……なんて、思ってはいけないことだけど。

「もう、寝よう……」

 いくら考えても仕方ないから、わたしはもう寝ることにした。
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