【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
だから今日、外でご飯を食べようって言ってくれたんだ……。
「せっかくもらったんだ。たくさん食べよう」
「はい」
バイキングなんてわたしが行くような所じゃないと思ってたよ……。
「まだ予約の時間まで時間があるな。……ちょっとそこのお店でも見てみようか」
「はい」
わたしたちが入ったのは、素敵なアンティークショップだった。
雰囲気が素敵で、なんかこう、懐かしい感じがした。
「……これ、可愛いかも」
わたしが見つけたのは、小さなオルゴールだった。そのオルゴールを見てわたしは、なんだか懐かしい気持ちになった。
「オルゴールか……」
昔両親から、誕生日のプレゼントにオルゴールをもらったことがあった。そのオルゴールをずっとわたしは、大切にしていた。
だけど両親が死んでから、わたしはそれを捨てた。思い出すのが辛くなるから。
だからわたしは、オルゴールを見ると少しだけ悲しくなる。
「それ、ほしいのか?」
オルゴールをジッと眺めていたら、爽太さんが後ろからそう問いかけてきた。
「あ、いえ……。そういう訳では……」