【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
そう言われれば、そうだ。わたしたちの子供は、同じ時に産まれるから同級生になる。
産めば、の話だけれど……。
「紅音さん?」
「…………。え?」
「大丈夫?」
大丈夫と聞かれたけど、大丈夫だと答える余裕なんてまるでない。
「大丈夫です。 じゃあわたし、行きますね」
「うん。また遊びに来てね」
「はい」
わたしは立ち上がると、そのまま美乃梨さんに【さよなら】と言って病院を出る。
その後はひたすら、何も考えないようにした。ただ歩きながら、自宅までの道のりを歩いた。
歩いている途中で何度も目にするのは、子供たちがはしゃぐ姿や走り回る姿だった。
元気にはしゃぐその姿を見て、わたしたちの子供もこんな風に育っていくのかなとか、色々なことを考えた。
わたしは今日の検診で、先生から【お母さん】と呼ばれた。だけどお母さんなんて実感まるでなくて、まだ信じられないのだ。
本当に妊娠しているのだと知ってもなお、まだ信じられない。
わたしはちゃんとお母さんになれるのか、ちゃんと家族になるために頑張れるのか。その答えすら見つからない。