【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「すみません。立ち話しすぎましたね」

「いえ、楽しかったです。ありがとうございました」

 凜音くんがグズってしまったようで、わたしたちはそこで解散することにした。
 そしてまた、病院に行く日に会う約束をした。

 買い物を済ませ自宅に戻ったわたしは、また吐き気に襲われてしまった。

「うぅ……」

 気持ち悪さですぐにトイレへと駆け込んだ。

「はぁ……」

 妊娠がどれだけ大変なことかは、ある程度は分かっている。だけどつわりの辛さは、想像を遥かに超えていく……。
 
「……もう、こんな時に」

 今から美味しいご飯を作らなければならないわたしには、つわりが襲ってくるのがとても困る。
 爽太さんを美味しい料理で喜ばせたいのに、つわりが襲ってくると味も分からなくなりそうだ。

「っ……よし」

 爽太さんが帰ってくるまでに夕飯の支度を済ませないと……。きっとお腹空いて帰ってくるだろうし。
 わたしはつわりに耐えながら、必死で夕飯の支度を進めた。ハーブの香りはとことん吐き気を襲ってくるけど、何度も吐きそうになりながらもわたしは必死で耐えた。
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