【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
その日の夜ーーー
「紅音、ただいま」
「爽太さん……。おかえり、なさい」
シンガポールからの出張を終えた爽太さんが、久しぶりに帰ってきた。
久しぶりに見る爽太さんのその姿に思わず、涙が出てしまう。
「おいおい。なんで泣くんだよ」
「すみ、ません……。久しぶりに会えたのが、とても嬉しくて……」
涙で声を掠れてしまうけど、爽太さんはちゃんと最後まで話を聞いてくれた。
「俺も嬉しいよ。……君にすごく会いたかった。恋しくて寂しくて、仕方なかったよ」
「わたしも……寂しかった」
爽太さんはそんなわたしを抱きしめてくれて、そして頭を何度も撫でてくれた。
「紅音がいないと、1日が長く感じた。……そのくらい俺、君を愛しているんだな」
「爽太さっ……んっ」
そのまま吸い込まれるように爽太さんと熱い口付けを交わし、わたしは爽太さんの背中にぐっと手を回した。
「紅音、寂しい思いをさせてごめん」
「……ううん。こうして帰ってきてくれたから、もう寂しくなんてありません」
その言葉にわたしは、そう返事をして爽太さんに微笑んだ。