【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「……紅音、大丈夫か?」

「大丈夫……」
 
 妊娠していることを思い出して、ちょっとだけ行為が怖くなった。
 だけど妊娠していることを言えていない今、隠すしかないと思った。

「なるべく優しくするから」

「はい……」

 爽太さんとの行為は、いつもわたしを快感へと導いていく。一定のリズムで揺れるベッドの上では、爽太さんがわたしの両手をしっかりと握りしめている。
 そんな快感を感じながら、わたしは爽太さんとの行為に夢中になった。

「はぁっ……っ、んっ」

 爽太さんの体から流れるその汗が、わたしの体にも流れ落ちてくる。
 行為の激しさが増すと、揺れるベッドのスプリングがギシギシと音を立て始めた。

「爽……太さ、んっ……」

「紅音……。愛してる」

「わたしも……愛してる」

 爽太さんのその言葉の後、わたしたちは二人で一緒に絶頂を迎えた。

「紅音、体は大丈夫か?」

「……はい。大丈夫……です」

 行為後わたしは、睡魔に襲われた。そしてそのまま、眠りについてしまったようだった。
 そしてその時に、まさか妊娠のことを知られてしまうことになるとは、思ってなかったーーー
< 156 / 208 >

この作品をシェア

pagetop