【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑰本音と気持ち
ーーー妊娠していることが、バレてしまった。
もう隠し通すことは出来ない……。
「……紅音、子供はどうするつもりだ?」
どうするつもり?そんなことを聞かれても、わたしの答えなんて一つしかない……。
「この子は産みます。……わたしが一人で、育てます」
「え……?」
「この子が産まれる時には、わたしたちはもう夫婦ではありません。……だけどわたしは、誰に何を言われてもこの子を絶対に産みます。 一人でこの子を育てていくって、もう決めたんです」
わたしは自分の想いを爽太さんに伝えた。お腹に手を当てて、語りかけるように話した。
「紅音……」
「……認知してほしいなんて言いません。父親になってほしいなんて言いません。 だけどわたし、この子を守りたいんです。……母親として、ちゃんとこの子を守ってあげたいんです」
そう話すうちに、涙が止まらなくなってしまった……。
「だからお願いです……。産むことを、許してください。……お願いします」
わたしは泣いた。泣きながらそう爽太さんにお願いした。
「……紅音、顔を上げてくれ」
「お願い……します」