【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「でも……。産んでもいいんですか……?」

「紅音は、産みたいんだろ……?」

 そう問いかけられて、わたしは「はい……。産みたいです」と力強く答えた。

「……離婚してもいいです。産ませてくれるなら、わたしが一人で育てますから。爽太さんに迷惑はかけっ……」

 話している言葉の途中で、爽太さんに唇を塞がれてしまった。

「え……。爽太さん……?」

「バカなこと言うな……。何言ってるんだ」
 
 爽太さんの表情は少しだけ、切なそうだった。

「……だって、わたしたちは……」

 わたしたちはもうすぐ離婚する。離婚するのだから、それ以上の関係を持ってはイケない……。
 きっと、未練が残ってしまうから……。

「そんなこと出来ない。 出来る訳が、ないだろう……?」

 わたしは何も言えなかった。

「君一人に、負担をかけさせる訳にはいかない。……俺が許さない、そんなこと」

「っ……。何で……」

 何で離婚する妻に対して、そんなことを言えるの……?
 わたしはあなたと2年間の期間限定の妻になることを決めたあの日から、その運命はもう決まってるのに……。
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