【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「君が俺の妻だからだ」

「でも、わたしたちは離婚するから……。この子が産まれる時にはもう、わたしたちは夫婦じゃなくなるのに……」

 そんなことを言われても、どうしたらいいのか分からなくなる。
 離婚しても尚、わたしは爽太さんのことを思い続けると思う。……お腹の子の父親として、そしてわたしが最も愛した人としてーーー

「……もし夫婦じゃなくなったとしても、俺が子供の父親であることに変わりはない。俺だってこの子を……。君たちを守りたいって思ってるんだ」
 
 そんなことを真剣な眼差しで言われたら、何も言えなくなってしまう。
 こんなにわたしのことを思ってくれる人、これからだってきっと他にいないだろうな……。なんてことを思ったりした。

「……紅音、今から言うことをよく聞いてくれ」

「え……?」

「今から言うことは、俺の本音だ。俺の正直な気持ちだ。……このことは、もう少し後に話そうと思っていたけど、やっぱり今話すことにするよ」

 その言葉はわたしにとって、思ってもなかった言葉であった。 

「ーーー紅音、俺はもう一度……。君にプロポーズしたい」
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