【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「………。え?」

「今度はちゃんと、君を愛する一人の男として、プロポーズしたいんだ」

 真剣な眼差しで言われたその言葉は……。わたしの心の奥深くにまで突き刺さった。

「……俺には紅音、君がいないとダメなんだ。俺は紅音とじゃないと、幸せになれないって本気で思ってる」

「どうして……? 子供が出来たから、ですか……?」

 だけどどうしても、その言葉の心理は分からなくて……。
 まだどこかで、爽太さんの言葉を疑っている自分もいた。

「違う。……言っただろ?俺の正直な気持ちだって……」

「だってわたしは、子供が出来てしまったんですよ? それで爽太さんが責任を取らなきゃとか、そんな風に思われるのがイヤなんです……」

 それでもわたしは、やっぱり……。

「そんなことない!……俺は君のことを愛してるんだ。一人の女性として、本気で愛しているんだ」

「わたしだって……。わたしだって愛しています、あなたのこと。 世界中の誰よりも、愛しているんです……」

 ここまで本気で人を愛したことなんて、なかった。……初めてだった。こんな感情ーーー
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