【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
その日以来、爽太さんはわたしのことを気遣ってくれるようになった。
無理をするなと言われ、出来ることは何でもやってくれた。
離婚する日まであと4ヶ月となった頃から、わたしはつわりに悩まされ、動くこともままならなくなった。
「うっ……。気持ち悪いっ……」
トイレに駆け込む回数も増えてきて、泣きたくなることも多かった。
辛くて辛くて、どれだけ吐いても吐くものがなくなって……。
「紅音、大丈夫か……?」
「っ……大丈夫、です……」
何かを食べることも拒否してしまい、食べれるものが何もなかった。
唯一今食べれるものが、梅干しやはっさくなどの酸っぱいものばかりであった。
「梅干し買ってきたけど、食べられそうか?」
「……食べたいです」
なぜか梅干しは今まで本当に苦手で食べられなかったのに、最近食べられることに自分でも驚いていた。
食が変わるとはよく聞くけど、まさにその通りだった。
「ほら、口開けて」
「い、いいです……!自分で食べられますから……!」
最近はこうしてよくアーンをしてくる爽太さんだけど、それもまた楽しんでいる気がする。