【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 人生の選択肢……? 確かにそうだ。答えなんて一つじゃない。いくつもある。
 だけど正しい答えなんて見つからない。どれが正しい答えなのか、そんなの誰にも分からない。

「……親父、俺は父親になりたい。 親父みたいな、父親になりたい」

 俺が今答えを出せるとしたら、それは一つだけだ。

「……それが答えなら、俺は止めるつもりはない」

「俺は、俺は……。紅音とこれからも一緒に生きたい。紅音と家族になって、父親になって……。堂々と生きていきたい」

 それが俺の答えだ。俺には今、そうすることしか出来ない。
 だって俺は……。紅音と離れるなんて考えられない。生涯でたった一人愛することが出来るとするなら、俺は紅音とだけ生きていきたい。
 紅音と一緒にいられるのなら、他に何も望まない。何もいらない。

「……爽太、俺にはお前の人生を決める権利なんてない。それはお前が決めることだからだ。……だからお前がそうしたいのなら、そうすればいい」

「親父……」

 親父はこう見えて、優しかったんだな……。

「ただし、ちゃんと自分の言葉には責任を持て。中途半端にはするな」

「……分かってる」
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