【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 紅音に恥じないように、成長して紅音の元に帰っていきたい。
 
「……お前なら、やれるさ」

 親父のその一言を、俺はしっかり胸に刻んだ。

「ありがとう、親父」 

 その日俺は、一年だけウィーンに行くことを紅音に伝えた。

「俺、一年だけウィーンに行きたいんだ。……父親てして、君の夫として、もっと成長するために」

 すると紅音はど惑いながらも、俺の決意を受け入れてくれた。

「……そうですか。行くんですね、ウィーン」

「ああ、本当にすまない。……でも自分のためにも、行きたいんだ。君をもっと守れるように、もっと自分を強くしたいんだ」

 だけど俺がそう言っても、紅音は涙一つ見せずに「はい。行ってきてください」と答えた。

「一年後、必ず君を迎えに来ると約束する。……必ずまた、君にプロポーズすると約束するから」

「……はい。約束、ですよ? わたしを待たせるんですから、しっかりウィーンで頑張ってきてください。そして必ず、わたしを迎えに来てください」

 俺はそんな紅音の言葉に「約束する。必ず迎えに行くから、待っててくれ」そう言って紅音の唇にそっと口付けをした。
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