【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑲カウントダウン


 夕食が出来上がった頃、爽太さんが仕事から帰ってきた。そしてすぐさま、わたしを抱きしめてくる。   

「爽太さん……?」

「ただいま、紅音」

「おかえりなさい」

 爽太さんのその温もりは温かくて、なんだか安心する。

「赤ちゃん、元気にしてるか?」
   
 そう聞かれてわたしは「はい。元気ですよ」と答えた。

「それは良かった。 少しだけど、お腹大きくなってきたな」

「はい。少しだけ、ですけど」

「産まれてくるまでにまだたくさん時間はある。ゆっくりと成長してくれたら、それでいいさ」

 そんな爽太さんの言葉に、わたしは「そうですね」と答えた。
 わたしたちの赤ちゃんは、必ず元気に産まれてきてくれるに違いない。そして元気に育ってくれるはずだ。

「それより、腹減ったな」

「じゃあ、ご飯にしましょうか」

「ああ。手を洗ってくるよ」

 爽太さんは一旦部屋に戻り、着替えてからキッチンにやってきた。

「「いたただきます」」
  
 と手を合わせて夕食を食べ始める。

「うん。美味い」

「良かった」

「雑穀ご飯、美味いんだな」

「美味しいです」
< 181 / 208 >

この作品をシェア

pagetop