【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「紅音には、苦労ばかりかけてすまない」

 爽太さんから突然そんなことを言われて、驚いた。

「……いえ」

「俺は、紅音と結婚したことを後悔していない。むしろ幸せだと思った。……こんな俺でも、幸せになれるのだと思って、嬉しかった」

 そんなことを言われたら、何も言い返せなくなる。

「……わたしも、爽太さんと同じ気持ちです。あなたと出会えたから、わたしは幸せになれた。 あなたとだから、幸せになれたんです」

 こうして今、わたしたちの赤ちゃんも出来て……。幸せと呼ぶには最高すぎるくらい、幸せだ。

「……紅音」

「爽太さんとの思い出は、これからも大切にします。心の中に大切に大切に、しまっておきます。……そして爽太さんが帰ってくるまで、その思い出を胸に、わたしはあなたのことを待ちます。必ずわたしたちの赤ちゃんを、守ってみせますから。……だから安心、してくださいね」

 そう言って微笑むわたしに、爽太さんは「紅音、ありがとう。……君が俺の妻で、本当に良かった」と返事をした。

「わたしは、この子の母親ですから。……わたしたちの大切な、宝物ですからね」

「……そうだな」
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