【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 それからというもの、徐々にカウントダウンだけが進んでいった。毎日必死で生きてきたけど、離婚するまでもう、残りもう3週間しかない。
 確実にその日はやって来ようとしている……。

 以前よりもお腹は大きくなっていき、本当に妊娠しているのだという自覚が出てきた。 最近はよく、赤ちゃんがちょっとだけど、お腹の中で動くようになってきた。
 その度に赤ちゃんがちゃんと生きてるんだって感じて、なんだか嬉しくなる。わたしたちの赤ちゃんは、こんなにも元気なんだって感じる。

「紅音、お腹触ってていいか?」

「いいですよ」
 
 最近の爽太さんは、よくこうして大きくなってきたお腹を触るのが日課になっている。
 そして赤ちゃんに話しかけながら、嬉しそうな表情をしているんだ。

「お、赤ちゃん今、動いたな」

「動きました?」

「ああ、動いた。……すげぇ、嬉しいもんだな」

 爽太さんは幸せそうに笑みを浮かべながら、そう言っていた。

「爽太さんもすっかり、父親の顔になってきましたね」

 と言うと、爽太さんは「だって俺、父親だからな」と言っていた。

「そうですね」
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