【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 お腹に手を当て優しく撫でながら、こうやって微笑み合うのももう少ししかない。
 この一瞬を、この瞬間を、大切にしていかなきゃって思う。爽太さんとは一年間、会えなくなってしまうから……。
 大切に焼き付けるんだ、この大切な一日を。

「紅音、ありがとう」

「……え?」

「赤ちゃん、産みたいって言ってくれて」

 そう言われたわたしは「いえ……。こちらこそ、産んでほしいって言ってくれて、ありがとうございます」と言葉を返した。
 そして爽太さんの両手を握りしめると、「爽太さん……。愛してます」と言った。

「俺も愛してるよ。……世界で一番、愛おしい人だから」

「わたしもです。……ずっと一緒にいてください。この子と三人で」

「ああ、約束する」

 そうやって言葉をもらえると、嬉しくなる。そして幸せだと感じる。
 この子のために、わたしは頑張らなくちゃいけない。爽太さんが帰って来た時に、少しでも安心できるように……。

「爽太さん。 赤ちゃんの名前、一緒に考えてくれませんか?」

「ああ、もちろんだ。一緒に考えさせてくれ」

「……はい。もちろんです」
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