【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


「紅音、愛してるよ。これからもずっと」

「……はい」

「一年間、待たせてしまうし、色々と大変な思いをさせてしまうけど……。待っててくれるか?」

 その問いかけに、わたしは「当たり前です。だってこの子は、わたしたちの子供ですよ?……大切に大切に、育てていきますから」と答えた。

「ああ。……帰ってきたら、お前たちをギュッと抱き締めていいか?」

「はい。もちろんです。……ギュッと抱き締めてくださいね」

 だけど離れてもしまっても、わたしたちはまた必ず会える。
 こうしてお互いを思い合う気持ちがあれば、わたしは頑張れる。この子と一緒に、爽太さんのことを待つ。

「日本に帰ってきたら、赤ちゃんのこと、抱いてあげてください」

「……いいのか?」

「当たり前じゃないですか。……この子の父親は、爽太さんだけですよ?」

 そう話したわたしは、爽太さんに抱きついて、爽太さんの温もりを感じた。
  
「……大好き、爽太さん」

 明後日になったら、爽太さんはウィーンに行ってしまう。
 それまで爽太さんの温もりを感じることが出来なくなるから、いっぱい温もりを感じたい。
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