【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「爽太さん……」
爽太さんが付けていた結婚指輪を通したそのネックレスをギュッと抱きしめたわたしは、爽太さんのことをこんなにも思っているんだと、実感した。
早く会いたい……。会ってたくさん話をしたい。早く莉音の顔を見せてあげたいし、莉音を抱っこさせてあげたい。
莉音にも早く、パパだよって伝えたい。あなたのパパは、こんなにもカッコイイ人なんだよって、伝えたい。
莉音の寝顔を眺めていたその時ーーー家のインターホンが鳴った。
「はーい……?」
宅配便か何かだと思い、そのドアを開けたわたしの目の前にはーーー
「……え?」
「紅音」
え……?
「え……。爽太、さん……?」
わたしがずっと会いたかった、愛おしい人が現れていた。
「え、何で……?」
「紅音に会いたくて」
爽太さんからいつ帰ってくるとかの連絡がなかったから、突然のことに驚いたわたしは、ただ爽太さんを見つめるしかなかった。
「え、ちょっと待って……。いつ、帰ってきたんですか……?」
「さっきだよ。そのままここに来た」
その問いかけにそう答えた爽太さんは、わたしを思いっきり抱きしめた。