【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「本当に……。爽太さんだ……」
「当たり前だろ?本当に、俺だよ」
「っ……爽太さん……!」
久しぶりに感じるその愛おしい人の温もりを思い出して、わたしは涙がとめどなく溢れた。
そんなわたしをギュッと抱きしめながら、爽太さんは「ただいま、紅音。待たせてごめん」と言った。
「おかえりなさい、爽太さん……」
「連絡もせずに、いきなり来てごめん。……紅音を驚かせたくて、サプライズにしたんだ」
爽太さんのその言葉に、わたしは「ずるい……。サプライズなんて、聞いてないです……」と言葉を返した。
「喜んでくれた?」
「っ……爽太さんのバカッ……。いきなり来るなんて、反則です……」
だけどわたしのその言葉に、爽太さんは嬉しそうに「良かった。喜んでもらえたみたいだな」と微笑みを浮かべていた。
「爽太さん……。おかえりなさい」
わたしは涙を拭うと、爽太さんを精一杯の笑顔で出迎えた。
「ただいま、紅音」
「もう、いきなり来るから、心の準備が出来てないです……」
突然会いに来るなんて思ってなかったわたしは、すっかり油断していた。