【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 髪はボサボサだし、ノーメイクだからスッピンで、それに肌荒れもしてるし……。
 そんな状態でまさか会うことになるなんて、油断していた。

「驚かせたかったんだよ」

「でも……。爽太さんらしいですね」

 そう微笑んだわたしに、爽太さんは頬を撫でるように優しく触れてきた。
 そしてゆっくりと唇を重ねてきた爽太さんに、わたしは目を閉じた。

「……爽太さん、中に入ってください」

「ありがとう」
 
 爽太さんは家の中に入ると「懐かしい」と言葉にした。
 結局わたしは、爽太さんが向こうに言っている間も、爽太さんからの提案でこの家に住むことにした。爽太さんが帰ってきた時に、すぐに安心出来るようにしたくて。
 この家で一人で暮らすのは、とても大変だったけれど、またこうして三人で暮らせると思うと、とても嬉しい。

「莉音、寝てるのか」

「はい。さっき、寝た所です」

「そっか。じゃあ寝かせておいてやらないと、だな」

 爽太さんは莉音のそばで、莉音の寝顔を眺めながらそう言っていた。

「……はい」

「可愛いな、莉音。……可愛いすぎるな」

 爽太さんは莉音のほっぺたを撫でながら、嬉しそうに笑っていた。
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