【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「それ選んだのって、もしかしてお兄ちゃん?」
沙和さんからそう聞かれてわたしは「は、はい。一応……」と答えた。
「やっぱり。そうかなって思ったよ」
「ど、どうして分かったんですか?」
と問いかけると、沙和さんは「だってお兄ちゃんの好きそうなデザインだもん」と言って笑っていた。
「そ、そうなん、ですか……?」
「そう。お兄ちゃんは昔から、大切な女性には必ず花柄のワンピースをプレゼントをするって決めてるみたいだから」
「大切な……女性?」
それってその、わたし以外の女の人にもって、ことだよね……?そうだよね……。爽太さんは本当にカッコイイし、そりゃあモテるよね。
わたしみたいな凡人、やっぱり釣り合う訳ないよね……。妻になってみて、本当にそう思う。
わたしみたいな凡人に、爽太さんのような爽やかイケメンは似合わない。
わたしみたいな女が爽太さんのそばにいるなんて、おかしな話だもんね……。
自分でも思ってるくらいだもん。
「……紅音さん?」
「……え?」
「どうしたの?大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です。……すみません」