【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 ダメダメ。そんなこと考えてても仕方ない。
 だってわたしたちは、あと一年半後には離婚するんだから……。
 変な感情を持ったら、戻れなくなってしまう気がする。

「紅音さん、お待たせ!どうぞ座って!みんなでお茶にしましょう!」

 そんなことを考えていた時、爽太さんのお母様の明るい声が聞こえてきた。
 わたしは精一杯の笑顔を向けて「ありがとうございます。お母様」と言葉を発した。

「紅音さん、チョコチップクッキーも焼いたから、遠慮なく食べてね?」

「はい。ありがとうございます」

 お母様はお料理が本当に上手な方で、こうしたお菓子まで手作りしてしまう。
 本当にすごいと思うし、尊敬してしまう。

「美味しいです」

「あら本当?良かった」
 
 お母様の手作りクッキーは、甘さ控えめでしっとりしていて、とても美味しかった。
 紅茶との相性もバツグンで、クッキーとのハーモニーが心地よい。

「甘さ控えめで、食べやすいです」

「良かったわ。遠慮しないで、好きなだけ食べてね」

「ありがとうございます」

 爽太さんのお母様は、本当に優しいな……。
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