【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。


 沙和さんからそう聞かれてわたしは、思わずそう答えた。

「本当?ならよかった。お兄ちゃん結構厳しい所あるから、もしいじめられたりしたらすぐにわたしに言ってね?」

「あ、ありがとうございますっ」

 そんな、いじめられたりなんて……。しないよね……?

「おい沙和。お前変なこと紅音に吹き込むなよ」

「だってお兄ちゃん、好きな人出来たらいじめちゃうタイプでしょ?」
 
「え、そうなんですか?」

 わたしはその言葉に、思わず隣に座る爽太さんの方を見た。
 本当に?全然、そんな風に見えないのだけれど……。

「おい沙和……! 紅音が本気にするからやめろって……!」

「お兄ちゃんダメだよ?紅音さんのことちゃんと大切にしてあげなきゃ」

 そんな兄妹の他愛もない会話を聞いているだけで、なんだかほっこりする。
 わたしにもし兄妹がいたら、こんな風に笑ったり出来ていたのかな?……なんてね。

「沙和、お前楽しんでるだろ?」

 そこに言葉を発してきたのは、爽太さんの弟の爽哉(そうや)さんだ。
 爽哉さんはクールな感じで、ちょっとミステリアスな雰囲気がある人だ。
< 25 / 208 >

この作品をシェア

pagetop