【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
沙和さんからそう聞かれてわたしは、思わずそう答えた。
「本当?ならよかった。お兄ちゃん結構厳しい所あるから、もしいじめられたりしたらすぐにわたしに言ってね?」
「あ、ありがとうございますっ」
そんな、いじめられたりなんて……。しないよね……?
「おい沙和。お前変なこと紅音に吹き込むなよ」
「だってお兄ちゃん、好きな人出来たらいじめちゃうタイプでしょ?」
「え、そうなんですか?」
わたしはその言葉に、思わず隣に座る爽太さんの方を見た。
本当に?全然、そんな風に見えないのだけれど……。
「おい沙和……! 紅音が本気にするからやめろって……!」
「お兄ちゃんダメだよ?紅音さんのことちゃんと大切にしてあげなきゃ」
そんな兄妹の他愛もない会話を聞いているだけで、なんだかほっこりする。
わたしにもし兄妹がいたら、こんな風に笑ったり出来ていたのかな?……なんてね。
「沙和、お前楽しんでるだろ?」
そこに言葉を発してきたのは、爽太さんの弟の爽哉(そうや)さんだ。
爽哉さんはクールな感じで、ちょっとミステリアスな雰囲気がある人だ。