【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
「悪いな、紅音。沙和が迷惑かけて」
「そんな。迷惑なんて……」
嬉しいけどな、話しかけてくれて……。
「沙和は兄妹の中でも女一人だし、嬉しいのかもしれないな。同い年の家族が出来て」
同い年の、家族……。確かにわたしと沙和さんはたまたま同い年だったけど、こうして話が合うのは嬉しいかな……。
なんか友達が出来たみたいで、嬉しい。
「って言っても、沙和にとって紅音は友達みたいな感覚なんだと思うんだけどな?」
「……でも、嬉しいです」
お友達みたいに過ごせたら、わたしも嬉しい。だって小田原家はみんな優しいから。
【本当の家族だって思ってくれていい】そう言われた時、あまりにも嬉しくて、涙が出たのを覚えている。
「紅音さん、沙和はあなたのこと大好きみたいなのよ?紅音さんが来る度に喜ぶの、あの子」
爽太さんのお母様からそう言われた時、わたしは嬉しくて微笑みが出た。
「紅音さんはもう家族なんだから、何も遠慮することはないのよ?何か困ったことがあったら、いつでも言ってね?」
「そうだぞ、紅音さん。君は爽太の嫁なんだから」
「お父様、お母様……」