【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
そう言われたら、嬉しくて泣きそうになる。だって家族を失ったわたしに、小田原家の家族はみんなこうして優しい言葉をかけてくれるから。
小田原家の嫁としてこうして受け入れてくれることを、わたしは本当に嬉しく思う。
「君はもう、わたしたちの娘みたいなものだ。本当に爽太と結婚してくれて、ありがとう紅音さん」
「……こちらこそ、こんなわたしに手を差し伸べてくれてありがとうございます。 おかげでわたしは、今こうして幸せです。それは皆さんのおかげです。……本当に、ありがとうございます」
わたしは小田原家の家族に救われている。小田原家全体が、わたしを助けてくれる。
恩返ししたくてもしきれないくらい、心から感謝している。
「紅音さん、紅茶おかわりするでしょ?」
「……はい。お願い、します」
「すぐ淹れて来るから、ちょっと待っててね?」
「ありがとうございます」
お母様がキッチンに行っている間、わたしはお父様や爽太さんと他愛もない話をした。
こうして誰かとまた、笑い合える日が来るなんて……。今までのわたしなら、想像もしてなかっただろうな。