【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
④溢れだす想い


「今日はお邪魔しました。ありがとうございました」

 夕方になり、わたしたちは家に帰るために小田原家を出ることにした。

「またいつでも来てね?紅音さん」

「はい。ありがとうございます」

 今日はとても楽しかったな……。美味しいクッキーまで頂いてしまったし。

「行こうか、紅音」

「はい。では、失礼します」

「気を付けてね!」

 小田原家を出ると、爽太さんはわたしの手をギュッと握ってくれていた。
 爽太さんのこの手の温もり、本当に好き……。温かくて、優しくて、なんか心地よい。

「今日は、とても楽しかったです」

「そっか。ならよかったよ」

「ありがとうございます。連れてきてくれて」

 爽太さんにそう言って微笑むと、爽太さんはすぐに目を逸らしてしまった。

「……爽太さん?」
 
 今なんで、目を逸らされたのだろうか……?
 わたし何か、気に触るようなことでも言ってしまったのかな……?

「……どうか、しましたか?」

 心なしか、爽太さんの顔が赤くなっているようにも見える気がするのだけど……。気のせい?

「……いや、なんでもない」
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