【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
【爽太side】

 


 その日も仕事を終えて帰宅する途中だった。そして家に向かって歩いていたその時、突然俺のスマホの着信音が鳴り響いた。
 電話の相手は、医者の知り合いの加古川凜人(かこがわりひと)だ。
 俺はアイツから電話なんて珍しいな、なんて思いながら俺は電話に出た。

「もしもし、加古川?どうした?」
 
「小田原、大変だ!お前の嫁が……!」

「……え、紅音がどうした?」
  
 紅音に何かあったのか?なんて思っていた時、次の瞬間に加古川から聞こえてきたのはーーー

「お前の嫁が、車に轢かれて意識不明の重体で救命に運ばれてきた……!!」

 という、加古川の焦ったような声だった。

「……え?」

 紅音が、車に轢かれた……? 意識不明の重体……?
 なんだって……!?

「早く来い!紅音さんの命が危ない……!」

「……すぐ行くっ!」

 俺はそこでタクシーを呼び、すぐに加古川の働く錦総合医療センターへと向かった。
 病院に着いた俺は、すぐに加古川のいる救命へと走った。

「あの、紅音は……。紅音は……!」

「小田原紅音さんの、ご家族の方ですか?」
< 41 / 208 >

この作品をシェア

pagetop